なぜ今、「自分で点てる抹茶」なのか。
- Chiaki Nakamura
- 5月21日
- 読了時間: 3分
——稽古でも、体験でもない。自点茶(じだて)という新しい選択肢。

たくさんの抹茶レッスンがある中で、なぜ今、自点茶(じだて)という新しいスタイルを、茶道教室のTEA HOUSE SETAGAYAが始めたのか。
その理由は「抹茶の楽しみ方が、ひとつではない」と思っているからです。
茶道という世界
茶道とは「稽古」です。その本質は、伝統的な作法を通して、自己の精神を磨いていくことにあります。私もこの世界が大好きで、長年親しんできました。けれど、仕事や家庭の事情などで、定期的に稽古に通うことが難しい場合もあり、さまざまな環境や条件の重なりが影響してきます。
また、ストイックさも含まれているため、「趣味」よりも「修行」に近い感覚を持つ方も多いかもしれません。
最近ふえた、やわらかな茶のかたち
——堅苦しさをマイナスする方向へ
たとえばテーブル茶道のように畳や着物にこだわらないスタイル。
また、道具や点て方を学べるオンラインの入門レッスンも増えています。
こうしたスタイルは、茶道のハードルを下げ、間口を広げてくれる素敵な取り組みです。
所感ですがどちらも“引き算”のアプローチ——
つまり、「茶道から何を省くか」という視点があるように感じます。
また、ビジュアルの美しさを大切にする世界では、どうしても他者の目線が前提になりがちで、
“自分に還る時間”という精神的な深まりは、少し遠くにあるのかもしれない——そんなふうに思うこともあります。
自点茶(じだて)は、「喫茶」からはじまる茶道エッセンスの“足し算型”
自点茶は、喫茶の時間を出発点にしてそこに、必要に応じて茶道的なエッセンスを「足していく」、つまり、足し算型の抹茶時間です。
抹茶を点てること自体を楽しみ、その中で、自分自身の輪郭を感じる。
そんな“能動的な時間”を大切にしています。
自点茶の3つのポイント
「点てること」を主役に。
うつくしく、よりも、たのしく。
身近な器で、道具にしばられず。
いま、手の届くもので始められる自由さ。
“今の自分”と向き合う一服。
その日の心の温度をはかるように、
五感を通じて、自分の“好みの輪郭”を描いていく。
そしていつか、「どうぞ」と手渡せるように。
他の誰かとお茶を、誰かに分かち合う。
そんなあたたかさを、自点茶の時間で育んでいけたらと願っています。
どれが正解ではなく、どれが“いまの自分に合うか”。
自点茶は、「茶道では少しハードルが高いけれど、もう一歩、抹茶の時間を深めてみたい。」そんな気持ちに応える場所でありたいと思っています。「茶道」でもなく、「ただの喫茶」でもなく。自分で点てるというちいさな所作のなかに今日の自分の輪郭がすこし見えてくるような時間を。
たくさんの方と自点茶(じだて)レッスンでご一緒できますように。
各ジャンル別レッスン比較表|それぞれの魅力と、自点茶の特徴(選択の参考にどうぞ)
ジャンル | 主な特徴 | 提供する価値 | 向いている人 | 自点茶との違い |
① 茶道の稽古 | 伝統的な作法に則る/師弟関係/継続的稽古 | 精神性の研鑽・所作の美 | 精進・礼法・伝統文化への探究心が強い人 | 自点茶は形式に縛られず、実用的で日常的 |
② テーブル茶道 | 畳・着物なし/省略型の茶道/ややカジュアル | 所作の美・他者へのもてなし | ビジュアル的美しさを楽しみたい人 | 自点茶は美しさより「内側の整い」と習慣化 |
③ オンライン入門系 | 手順を一通り学ぶ/使い方ガイド型 | 抹茶を“点てられるようになる” | 実用性重視の初心者 | 自点茶は点てたあとに生まれる感覚の余韻まで重視 |
④ 自点茶(じだて) | 感覚重視/自分で点てる/習慣化設計/哲学性あり | 今の自分と向き合い、日常を整える | 忙しくても、自分時間を大切にしたい人 | ー |